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第38話 黄金の翼が散る時、勇者は限界を超える

Penulis: 東雲明
last update Tanggal publikasi: 2026-09-10 19:59:17
「今のは焦ったぞ、虫ケラどもが」

 低く押し殺した声が、魔王城の玉座の間を震わせた。

 天柱の矢に貫かれた玉座は原形を失い、黒い石の破片となって広間の奥へ散乱している。床には黄金の光を宿した亀裂が幾重にも走り、その上をルゥの水の残光が青い帯となって流れていた。さらに、俺が投げ放ったアストラルフレイムの青白い炎が、砂塵に霞む玉座の残骸を照らしている。

 三人の力を重ねた一撃。その中心には、黄金と青と白が混ざり合った光の奔流が、今なお激しく渦巻いていた。

 だが、その奥から黒い霧が滲み出す。

 最初は糸ほどに細かった影が、床や壁を這う闇を吸い上げながら膨らみ、残っていた光を内側から押し退けていく。黒い霧は一点へ収束すると、人の背丈を越える柱となって立ち上がった。その内側で幾筋もの影が絡まり、頭、肩、腕、胴体の輪郭を静かに取り戻していく。

 やがて霧の中で、二つの瞳が開いた。

 そこに立っていたのは、完全な姿を取り戻したラフィセルだった。

「我が玉座を砕き、この身にまで届いたことは褒めてやろう」

 黒い衣には乱れ一つなく、背筋もまっすぐに伸びている。けれど、こちらを見下ろす冷たい眼差しと、そ
東雲明

今話ではラフィセルが倒されるどころか更なる力をもって再生し、更なる脅威として龍夜の前に立ちはだかります。正天使に覚醒したミユウが、今度は自らを犠牲にして龍夜を庇いますが、これまでの関係を積み重ねてきたからこそ自然な流れとして描いています。そして次回、勇者の最終形態、「エクシード」に覚醒した龍夜の、最後の戦いが始まります。次回の更新をお楽しみに。今回もおもしろいと思われましたらぜひブクマ、評価、レビューいただけると泣いて喜びます。

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    「今のは焦ったぞ、虫ケラどもが」 低く押し殺した声が、魔王城の玉座の間を震わせた。 天柱の矢に貫かれた玉座は原形を失い、黒い石の破片となって広間の奥へ散乱している。床には黄金の光を宿した亀裂が幾重にも走り、その上をルゥの水の残光が青い帯となって流れていた。さらに、俺が投げ放ったアストラルフレイムの青白い炎が、砂塵に霞む玉座の残骸を照らしている。 三人の力を重ねた一撃。その中心には、黄金と青と白が混ざり合った光の奔流が、今なお激しく渦巻いていた。 だが、その奥から黒い霧が滲み出す。 最初は糸ほどに細かった影が、床や壁を這う闇を吸い上げながら膨らみ、残っていた光を内側から押し退けていく。黒い霧は一点へ収束すると、人の背丈を越える柱となって立ち上がった。その内側で幾筋もの影が絡まり、頭、肩、腕、胴体の輪郭を静かに取り戻していく。 やがて霧の中で、二つの瞳が開いた。 そこに立っていたのは、完全な姿を取り戻したラフィセルだった。「我が玉座を砕き、この身にまで届いたことは褒めてやろう」 黒い衣には乱れ一つなく、背筋もまっすぐに伸びている。けれど、こちらを見下ろす冷たい眼差しと、その身体から溢れ出す魔力は、復活する前とは比べものにならなかった。 目に見えない巨大な圧力が玉座の間を満たし、呼吸をするたびに肺が押し潰されそうになる。床に転がっていた小石が震え、次々と宙へ浮かび上がった。崩れかけた柱から砂が零れ、天井に走った亀裂の奥で、岩盤が軋む鈍い音が続いている。「だが、貴様らが得たものは、我が怒りだけだ」 ラフィセルが静かに片足を踏み出した。 その瞬間、空気が爆ぜた。 衝撃が床を走り、黄金の光を宿していた亀裂が黒く染まる。ルゥの水の残光は押し潰され、無数の飛沫となって散った。遠くに横たわるアストラルフレイムの炎も大きく揺らぎ、今にも闇へ呑まれそうなほど細くなる。 俺は腕で顔を庇い、踏みとどまろうとした。しかし、足元の石床ごと揺さぶられ、身体が何歩分も後ろへ滑っていく。胸の奥では魔王の呪いが黒い杭となって食い込み、心臓の鼓動に合わせて、焼けるような痛みを全身へ送り込んでいた。 苦しい。まともに息を吸うことさえできない。 それでも、ここで目を逸らすわけにはいかなかった。 砂塵の向こうで、ラフィセルを包む黒い魔力が渦を巻いている。それは炎でも霧でもない

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